子宮がん検診

子宮頸がんとは?

子宮は西洋梨を逆さにしたような形をしており、上部のふくらんだ部分を体部、下の部分を頸部と呼んでいます。体部にできるがんを「体がん」、頸部にできるがんを「頸がん」といいます。

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子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんです。子宮頸部は、性行為や出産などで刺激を受けやすい場所です。HPV感染により正常の細胞はダメージを受け、その結果、一部の人では頸部の細胞が異常な変化を起こして異形成という病変になります。多くは正常に戻りますが、そのなかの一部はがんへと進むことがわかっています(下図)。若い女性でも、子宮頸部の細胞がダメージを受ければ子宮頸がんにかかる可能性があります。

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子宮頸がんになりやすい原因はあるのでしょうか?
細胞にダメージをあたえ、子宮頸がんと関連の深い因子は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。HPVは性交によって感染し、セックスパートナーの多い女性や、性行動の盛んな男性をパートナーにもつ女性は感染の危険度が高いとされています。その他にも子宮頸がんになりやすいとされる因子があり、それらとともに発癌リスクの高いHPVに感染している場合は、頸がんの発症率が高くなると言われています。
子宮頸がんになりやすい因子としては、
(1)初交年齢が若い
(2)セックスパートナーが多い
(3)多産
(4)喫煙者
(5)ビタミンA、Cの少ない食事
(6)経口避妊薬(ピル)の長期服用者
(7)免疫系の低下
などがあります。

子宮体がんとは?

子宮は西洋梨を逆さにしたような形をしており、上部のふくらんだ部分を体部、下の部分を頸部と呼んでいます。体部にできるがんを「体がん」、頸部にできるがんを「頸がん」と言います。体がんの好発年齢は50〜60歳で、子宮頸がんに比べ高年齢の傾向にあります。

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子宮体がんの発生には、女性ホルモン、特にエストロゲンが深く関わっていると言われています。きちんと排卵している人は、エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されていて、このホルモンの働きで子宮内膜が剥離(月経)と再生を繰り返します。しかし排卵のない人や閉経後の人は、プロゲステロンの分泌がないので、このバランスが崩れてエストロゲンだけが過剰に働き、その結果、子宮内膜は増殖を続けます。この状態が、がんの発生と密接な関係にあると考えられているのです。

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どのような症状が出るのかしら?
もっとも多くみられる症状は不正出血です。月経以外の出血、とくに閉経後の出血は注意が必要です。おりものに混じるくらいの少量の出血でも軽視しないで受診したほうがいいでしょう。なお、ホルモンのバランスが崩れても月経とは別の出血が起こる場合がありますが、残念ながら、がんなどによる出血と区別することはできません。
子宮体がんになりやすい因子としては
(1)閉経前後
(2)月経不順・排卵障害がある(あった)
(3)妊娠・分娩の経験が少ない
(4)肥満(高血圧、糖尿病)
(5)更年期障害の治療にエストロゲンを単独使用している(していた)
(6)乳がんの手術後にホルモン剤を服用している(していた)
などがあります。

どのくらいの割合で見つかっているの?
私たちが検査した成績では、住民検診で1000人に1人の子宮体がんがみつかっている状況です。これは全国的にも同様の成績で、各年度で成績の差はありますが、全体的に発見率は増えていると考えられます。

子宮体がんは増えているの?
子宮がんのなかで体がんが占める割合は、以前は5〜10%と言われていましたが、近年増加傾向にあります。この背景としては、食生活が肉食中心の高脂肪・高蛋白の欧米型になってきていることがあげられています。発がんに関係していると言われている女性ホルモンのエストロゲンが脂肪のなかに溶けて存在し、脂肪細胞がエストロゲンの貯蔵・分泌をするためと言われています。また、最近の少子化により、女性の体がエストロゲンの影響下にある時間(妊娠していない時間)が長いことも関係していると考えられています。
体がんの予後(治癒の見込み)は、他のがんに比べて良好とされ、早期に見つければ100%の治癒が期待できます。また、妊娠も可能となる治療法の選択も可能です。
このことからも、不正出血やおりものなど「いつもと違う」と感じたら、婦人科を受診しましょう。日頃の健康チェックは早期発見のポイントと言えます。

検診の方法と注意事項

子宮がん検診を受けるには?
子宮がん検診を受診するには、各市区町村が公費で行っている住民検診(公費検診)があり、主に「頸がん」をターゲットとしています。2004年4月に厚生労働省の「がん検診の指針」の改正があり、頸がん検診は20歳以上・隔年受診、体がん検診は問診により医師が必要と認めた方(本人の同意が必要)に頸がん検診と併せて行われます。ただし、体がん検診未実施の市区町村もあります。子宮がん検診は、各市区町村によって対象者や検診間隔が異なります。詳しくは各自治体にお問い合わせ下さい。 また、職場での検診や人間ドックなどでも受けることができます。

子宮がん検診を受ける前に注意することはある?
正しい検査結果を得るためにも生理中は避けた方がよいでしょう。また、腟内洗浄は細胞が洗い流されることがありますので避けてください。検診前、日常生活で特に注意することはありません。

子宮がん検診の検査方法を教えて。
まず、 問診票に自覚症状や月経周期などの情報を記入していただきます。これは検査をする上で大変参考となりますので、詳しく書いてください。最初にクスコという器具を膣に挿入します。頸がん検診はサイトブラシ、サイ トピック等の器具で腟部と頸管から細胞を採取し、体がん検診はエンドサイト、ウテロブラシ、エンドサーチ等の器具を用いて体部から細胞を採取します。また医療機関によっては、コルポスコープという腟拡大鏡で子宮の入り口の状態を観察するコルポ診も行ないます。最後に触診で子宮の大きさや形、卵巣の状態も調べます。

採取した細胞はどうなるの?
採取した細胞はスライドガラスに塗られ細胞検査士*1)が顕微鏡でチェックします。異常な細胞があった場合には、どの程度の病変が考えられるかを細胞診専門医*2)が診断します。これを細胞診といいます。また最近では採取した細胞を特殊な液体に入れて標本を作製する方法もあります(液状検体法*3))。

*1 細胞検査士
公益社団法人日本臨床細胞学会と日本臨床検査医学会による認定資格です。臨床検査技師の国家資格を持ち一定の実務経験を有するもので、細胞検査士資格認定試験に合格した検査技師です。
*2 細胞診専門医
日本の医師免許取得後5年以上で、かつ5年間以上細胞診断学の研修をうけ、細胞診専門医試験(公益社団法人日本臨床細胞学会が実施)に合格した医師です。
*3 液状化検体法
従来法と異なり、機械の力を借りて細胞診標本を作製するため、誰でもが均一な標本を作製可能で、診断し易く、また細胞を保存可能なため、後になってHPV検査を追加したり、細胞診の再作製も可能です。

「がん」に特有の症状はあるの?
体がんは不正出血があることが多いのですが、頸がんの初期は自覚症状がないことが多く、検診を受けてはじめて発見されるケースがほとんどです。ですから、症状がなくても検診を受けることが大切です。また、不正出血がある、おりものに異変があるなど、いつもと違った様子があったら、すぐに婦人科を受診しましょう。

検診結果について

「NILMです。異常はありませんでした。」という結果でした。ところで、このNILMってなんですか?
わが国では従来「クラス分類」や「陰性・疑陽性・陽性分類」が一般に用いられていましたが、頸がん検診では新しい判定方法として「ベセスダシステム」が取り入れられました。
現在は「ベセスダシステム」への移行措置として、「クラス分類」との併記をしている場合も多くみられます。

クラス分類とベセスダシステム

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子宮頸がん検診細胞診判定結果とその後の対応

  クラス分類 推定病理診断  
NILM Ⅰ・Ⅱ 非腫瘍性所見・炎症 定期検診
扁平上皮系の異常      
ASC-US Ⅱ・Ⅲa 軽度扁平上皮内病変疑い ①HPV検査
②6ヵ月ごとの反復細胞診
③コルポ診・精検
ASC-H Ⅲa・Ⅲb 高度扁平上皮内病変疑い コルポ診・精検
LSIL Ⅲa HPV感染・軽度異形成 コルポ診・精検
HSIL Ⅲa~Ⅳ 中等度・高度・上皮内癌 コルポ診・精検
SCC Ⅳ・Ⅴ 扁平上皮癌 コルポ診・精検
腺系の異常      
AGC Ⅲa・Ⅲb 腺異型または腺癌疑い コルポ診・精検
AIS 上皮内腺癌 コルポ診・精検
Adenocarcinoma Ⅳ・Ⅴ 腺癌 コルポ診・精検
Othermalignancy その他の悪性腫瘍 病変検索

※体がん検診の細胞判定

判定 推定される病理診断 結果に対する対応
陰性 非腫瘍性所見・炎症 定期検診
疑陽性 内膜増殖症・体癌疑い 生検
陽性 体部腺癌・その他の悪性腫瘍

頸がん検診の「ベセスダシステム」NILM、「クラス分類」Ⅰ・Ⅱや体癌検診が陰性の場合は次回定期検診の受診が、頸がん検診「ベセスダシステム」ASC-US以上、「クラス分類」Ⅲa以上、体がん検診で疑陽性以上の場合は精密検査が指示されます。

イメージ子宮頸がんはどのように変化しますか?
写真は正常~進行がんになる細胞の変化です。頸がんは、「異形成」という前がん病変から「頸がん」へと進むといわれていますが、この「異形成」がすべて「がん」になるわけではありません。異形成がみられた場合に、定期的に細胞診を行って経過をみていくか、治療をするかは医師の判断となります。このように細胞診は子宮のがんだけではなく、前がん病変から捉えることができる検査法です(写真)。

HPVについて

イメージHPVって何ですか?
子宮頸がんはHuman Papillomavirus(HPV)による感染が原因と言われています。大部分が性交渉により感染するウイルスですが、一般的に言う性感染症と異なり、性生活がある場合には誰もが生涯に一度は感染すると言われています。
HPVは100種類以上の型があることがわかっており、このうち子宮頸がんに関与するハイリスクHPVは13~14種類ほどで、発癌の危険度に差があります。
HPV感染の大部分は2年以内に自然治癒しますが、たまたまハイリスクのHPV(16型,18型など)に長期持続感染すると、がんの前段階を経て、子宮頸がんが発症しやすくなります。
※もっと詳しく知りたい方は、トピックスをご覧ください。

HPVについて医師の解説がみられます 

HPVの検査法について
頸がんの発生に関与しているハイリスクHPVの有無を検出する検査法で、子宮頸部より採取した細胞で検査をします。本会ではCOBAS HPVテストを使用し、16型、18型とその他のハイリスクHPVを検出しています。 検診の結果ASC‐USであった場合、精密検査としてこのHPV検査へと進みます。HPV検査が(+)か(-)によって、今後の指導方針が変わります。

*詳しくは検診結果についてをご覧ください。

精密検査について

細胞診「ベセスダシステム」でNILM以外、「クラス分類」でⅢa以上あるいは疑陽性以上の判定だった場合は「精密検査」が行われます。精密検査を行なえる医療機関での検査、または本会内に設置されている「東母精密検診センター」での検査等、いくつか選択肢がありますので医師と相談して決めてください。精密検査の結果に応じて、経過をみていくか、治療をするかを決めることになります。

精密検査と言われました・・・。私、がんなのでしょうか?
精密検査=「子宮がん」と診断されたわけではありません。本会の精密検診センターでは、がんは2~3%ほどで、ほとんどが良性か前がん病変の段階でみつかっています。まずは、ご自身の病変の有無を確認するためにも精密検査と言われたら必ず受診しましょう。

精密検査って、どういうことをするの?
ここでは本会内にある東母精密検診センターでの方法をご説明します。まず問診票に自覚症状や月経周期などの情報を記入していただきます。その後細胞診を行い、コルポスコープという腟拡大鏡で子宮の入り口の状態を調べます(コルポ診)。検診時の細胞診で頸部に異常細胞がみられた場合は、腟拡大鏡で気になる病変部分を鉗子でつまみ採ります(組織診)。また、体部に異常細胞がみられた場合は、キューレットという器具で組織を採取します。組織検査の後、少量の出血がありますが、通常は2〜3日で止まります。
検査結果は1週間後、医師から直接聞いていただきます。今後どのように経過をみていくか、あるいは治療が必要な場合には、最初に受診した医療機関の医師または東母精密検診センターの担当医から治療病院の紹介を受けることになります。

精密検査の後に注意することはありますか?
検査をした当日はもちろんのこと、出血のある間はお風呂を控えてシャワーにしてください。細菌が入りやすい状態ですので、温泉やプールに行くことも避けてください。また性生活や過度のアルコールも控えてください。

900万人の検診を実施し、約9,700人のがんを発見!

公益財団法人東京都予防医学協会では、一般社団法人東京産婦人科医会の先生方と協力して1968年から子宮がん検診を実施しています。そして、2016年には検診開始からのべ900万人の検診を達成し、子宮頸がん・子宮体がんあわせて約9,700人のがんを発見しました。無症状の人が対象となる「住民検診」では、発見されたがんの約70%は早期がんという成績です。検査結果については可能な限り追跡調査を行って信頼される有効性の高い検診を目指しています。

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