乳がん検診

日本でも乳がんが増えています。

乳がんは、乳房の中にある乳腺(乳管・腺房)に発生する悪性の腫瘍です。初期のうちは自覚症状がほとんどありませんが、そのまま放置しているとがんは乳腺の外に広がり、やがて全身に広がっていきます。
日本でも、食生活の欧米化などによって、乳がんにかかる人も乳がんで亡くなる人も年々急速に増えています。なかでも東京都は、乳がんの死亡率全国第一位という喜べない成績で、毎年1,000人あまりの方が乳がんで亡くなっています。この増加傾向は今後も続き、1985年の乳がん罹患率を1とすると、2015年にはその1.85倍の方が乳がんにかかると予測されています。

乳房の断面  乳がんで亡くなる数の将来予測

乳がんにかかる人は30歳代から増えはじめます。

乳がんは他のがんに比べて、若い年齢で発症するのが特徴です。30歳代から増えはじめ、40歳以上になると急カーブで増加しています。最近では、20歳代の女性にも乳がんが見つかるケースもあります。「乳がんチェックは20歳代から。若いから大丈夫という過信は禁物」と専門家は呼びかけています。

女性の年齢階級別乳がん

乳がんは、早期に発見して治療すれば治りやすいがんです。

乳がんの治療成績をがんの進行度別にみると、早期の病期0や病期Ⅰで発見すれば治療成績は非常に良いという結果が得られています。また、早期であれば乳房温存治療が可能で、治療後もQOL(生活の質)を下げることなく生活できることがわかっています。ですから、早期発見すれば、乳がんは決して怖い病気ではありません。

病期別生存率

乳がん検診の方法

乳がん検診は視触診、マンモグラフィ、超音波検査(エコー)を組み合わせて行います。また、自分で乳房のチェックを行う自己検診があります。2年に一度は必ず、できれば毎年、画像診断(マンモグラフィ・超音波検査)を含めた乳がん検診をお受け下さい。本会では、マンモグラフィと超音波検査を同時に行う精度の高い検診をおすすめしています。
また、症状のある方、二次検診をご希望の方のために、保健会館クリニックに乳腺外来があります。

【マンモグラフィ】

マンモグラフィは乳房のX線撮影のことです。乳房は柔らかい組織でできているため、乳房専用のX線装置を使用して撮影します。 マンモグラフィは、外からではわからない乳腺全体の構造がうつります。乳腺に乳がんのしこりがあると白く写ります。また、早期の乳がんには、しこりにならずに、ごく小さな石灰化ができることがあります。マンモグラフィはこの石灰化を写し出すことがとても得意です。 ただし、乳腺もしこりも白く写りますので、乳腺がたくさんある方(おもに20代、30代)では、乳腺の重なりと小さいしこりの判別が難しい場合があります。個人差はありますが40代以降になると乳腺が衰えてきて、だんだん脂肪に変わっていきます。脂肪が多い乳房では、乳がんのしこりがはっきり写ってきます。石灰化は乳腺がたくさんある方でも発見できます。 また、マンモグラフィは乳腺全体の構造を1枚のフィルムにあらわすことができて、過去のフィルムと簡単に比較できることから検診に用いられます。

例1)47歳 自覚症状がなく石灰化で発見された乳がん

右MLO,左右MLO 右病変部拡大

例2)51歳 小さい腫瘤で発見された早期乳がん

右MLO,左MLO 左拡大撮影

【超音波検査(エコー)】

超音波を出す器具を直接乳房にのせて、反射して返ってくる音の様子を画像にしているものです。超音波は手に触れない数ミリのしこりを見つけ出すことができます。しこりはすべて悪性というわけではありません。超音波ではしこりの内部の構造がうつりますので、マンモグラフィでしこりがあった場合、そのしこりがどういうものかを推測し判定することができます。 ただし、はっきりとしたしこりを作らずに、マンモグラフィで石灰化だけでうつる早期の乳がんや、乳腺が少なくほとんど脂肪になっている乳房の小さいしこりの検出は難しい場合があります。

【自己検診】

自分の乳房の中にしこりがないか、左右の乳房の形に変化がないか、皮膚にひきつれやえくぼはないか、分泌物がないかなどを自分でチェックする方法です。乳房の張りがとれた生理後1週間前後くらいに、閉経後の方は毎月決まった日に行って下さい。月に1度は忘れずに行って下さい。しこりはすべて悪性というわけではありませんが、異常に気付いたら乳腺の専門外来を受診して下さい。

【マンモグラフィを受けられる方へ】

■マンモグラフィ検査の方法

マンモグラフィ検査の方法

プラスチックの板で乳房をはさみ、平らに乳房を伸ばして圧迫します。撮影の方向は片方の乳房に対して斜め横から挟む方法と、上下で挟む方法があり、検診では1方向、左右2枚撮影する場合と、2方向4枚撮影する場合があります。

■圧迫することがとても重要です。

圧迫して撮影することは、正確な診断をするためにとても重要なことです。乳房の厚さを均一にして乳腺を広げて伸ばし重なりを少なくします。圧迫することで、しこりなどの病変がある場合、変化をはっきり映し出して診断を容易にします。
また、薄く伸ばしたほうが放射線量を少なくできます。厚みを1cm薄くすることによって、放射線の量が半分になると言われています。撮影時には、徐々に圧迫を加えていきます。機械的に一定の圧力がかかると、それ以上、圧迫ができなくなりますので、ご安心下さい。強めに圧迫している時間は5〜10秒程度です。

■圧迫は多少の痛みを感じます。

圧迫して撮影するときに多少の痛みを感じます。痛みの感じ方には個人差があり、あまり痛くない人もいれば、痛みが強い人もいます。体に力が入っていると痛みを強く感じることがありますので、リラックスした状態でお受け下さい。痛みが強く、堪えられないようであれば担当の技師にお申し出下さい。
生理前の乳房が張った状態では痛みを強く感じることがありますので、生理後、乳房の張りがとれた時期に検査することをおすすめします。

■放射線の量はごくわずかです。

一回の検診で乳房が受ける放射線の量は、東京からニューヨークへ飛行機で行くときに浴びる自然放射線の量の半分といわれています。乳房だけの部分的な照射であり放射線の量も少ないので、体にダメージを与えることはありません。ご安心下さい。

【精度の高いマンモグラフィ検診のために】

■マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)の認定を取得しています。

精度の高い乳がん検診のために、NPOマンモグラフィ検診精度管理中央委員会では施設画像、撮影技師、読影医師の資格認定を行っています。本会ではすべての認定を取得しています。撮影には認定を取得した女性技師が担当しています。安心して受診して下さい。読影は認定を取得した医師2名による二重読影を行っています。

マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)の認定を取得しています

■比較読影を行っています。

定期的に乳がん検診を受けている方で、過去に本会のマンモグラフィを受けている方に対しては、すべて比較読影を行います。前回のフィルムと比較することで、はっきりとしたしこりや石灰化がなくても、乳腺の構造の乱れや部分的な乳腺の変化がチェックできるからです。

このような方は検査を予約される時にご相談下さい。

■授乳中の方

乳腺が発達した状態になっています。マンモグラフィでは全体が白く写ってしまうため、正確な診断が困難になります。マンモグラフィは断乳後6ヶ月を目安にして下さい。超音波検査は受診できます。ただし、しこりなどの自覚症状がある場合は授乳中であっても、乳腺専門外来の受診をおすすめします。

■豊胸術後の方 1)生理食塩水パック、シリコンパックを入れている場合。

マンモグラフィでは、圧迫撮影時にパックを破損してしまう危険性があります。また、パックの内容物と乳腺が重なってしまい、乳腺全体が十分に撮影できません。乳腺全体を診断するためには、超音波検査をおすすめしています。

■豊胸術後の方 2)シリコン、パラフィン、脂肪などを直接注入している場合。

正常な乳腺組織と異物とが混じり合った状態になっています。病変の存在を判断することが困難です。マンモグラフィ、超音波検査ともに判定が難しくなります。乳腺専門外来を受診されることをお勧めします。いろいろな検査を組み合わせて、経年的に変化を見ていくことが大切だからです。

■ペースメーカー装着の方

マンモグラフィでは乳房を圧迫する時に機械を挟むことがあるため、位置がずれたり破損する可能性があります。そのため、超音波検査をおすすめしています。マンモグラフィは、心循環器科のある医療機関の検診部門で受診をおすすめします。

■水頭症シャント術後の方

マンモグラフィでは乳房を圧迫する時に、前胸壁皮下に埋め込んであるチューブを破損させる可能性がありますので、治療施設のある医療機関での受診をおすすめします。

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