安全でおいしいお水を飲むために

「水道水はまずくて飲めない」といった声を時々耳にしますが、では、安全でおいしい水道水の条件とは一体どのようものなのでしょうか?

(1)そもそも、「水道」とは?

江戸末期から明治初期にかけて、コレラやチフスなどの伝染病が全国的に流行しました。こうした流行は不衛生な飲料水が原因であったことから、明治18年に横浜市で近代水道の建設が始まり、2年後、日本で初めて水道が供給されました。以後、水道は「清浄、豊富、低廉」な飲料水の供給を目的として、都市部から地方へと次第に敷設されていきました。

(2)水道水の条件は?

水道で供給される水の水質基準は水道法第4条で、
①病原生物に汚染されまたは汚染されたことを疑わせるような生物、物質を含まないこと
②シアン、水銀その他の有害物質を含まないこと
③銅、鉄、フッ素、フェノールその他の物質をその許容量をこえて含まないこと
④異常な酸性またはアルカリ性を呈しないこと
⑤異常な臭味がないこと。ただし消毒による臭味を除く
⑥概観はほとんど無色透明であること

と定められています。具体的には、現在50項目の水質基準が定められ、これをクリアした水が供給されています。(当会で検査される水道水もほとんど、この基準をクリアしています。)

(3)浄水方法

ところで、「水道水はまずい」といわれる原因となった、異臭と異味はなぜ起きたのでしょう?実は、以前主流だった浄水方法では、いわゆるカルキ臭が発生したり、かび臭が取り除けませんでした。その浄水方法は「急速ろ過法」といいます。急速ろ過システムは、名前の通り従来のろ過法(緩速ろ過法)より処理速度が速いため、急速に増えた水道の需要に追いつくために導入されました。また、この方法を使えば原水の水質が悪くても浄化できるため、河川の汚染が進んでしまった東京では最適な浄水方法でした。そのしくみは、原水にまず凝集剤を添加し、凝集池で異物を凝集させ、アンモニア性窒素や鉄を除くため塩素を加えます。次に薬品沈殿池、急速ろ過池を経た後に消毒のために塩素殺菌され、上水として使用されます(図1)。この方法では細菌の除去ができないため、最後に必ず塩素消毒が必要になります。そのため、水中の有機物と塩素が反応して、トリハロメタンが生成します。また、この方法は異臭と異味を取り除くことができないため、原水のかび臭などが残り、「まずくてくさい水道水」になりやすかったのです。このような理由で異臭と異味の苦情が相次ぎ、「水道水はまずい」といった意識が定着してしまいました。

このような問題を解決するために、現在では高度浄水処理が取り入れられています(図2、3)。この方法ではオゾン処理や活性炭処理、膜処理を経ることで塩素処理が一度で済むため、トリハロメタンが発生しづらく、異臭と異味も取り除くことができるため、現在は異臭・異味のほとんどない「おいしい水道水」が供給されています。

 
図1. 急速ろ過法
 
急速ろ過法
 
図2. 高度処理
 
高度処理
 
図3. 膜ろ過処理
 
膜ろ過処理
 
 

(4)貯水槽の管理

このように「おいしい水道水」を供給するための工夫を経て配水されてくる水道水ですが、貯水槽が設置されているマンションやビルなどで水槽の適切な管理が行われていないと、内部に錆びや虫などの異物が入ったり、バイオフィルムと言われる微生物の膜が発生したり…。せっかくのおいしい水がまずくなってしまいます。では、この大切な貯水槽はどのように管理されているのでしょうか。

例えば…受水槽の有効容量が10m3を超える施設は、「簡易専用水道」とよばれ、設置者には衛生的に管理する義務があります。このような施設では、毎年1回厚生労働省の登録を受けた検査機関に依頼して「簡易専用水道検査」を受けなくてはなりません。検査の内容は、①水槽等の外観検査、②書類検査、③水質のチェックです。①水槽等の外観検査では、水槽本体やマンホール、水槽から出ているオーバーフロー管などが破損していないか、水槽の周囲が清潔に保たれているか検査します。普段から受水槽の周囲の整理整頓を心がけることが衛生的な管理につながります。また、③水質のチェックでは、給水栓における水の臭気、味、色、濁りおよび残留塩素の検査を行います。残留塩素が検出されなかったり、急激に低下した場合は水質の悪化が疑われます。この簡易専用水道検査は義務付けられているにも関わらず、東京都では1割強の施設が受検していません。また、10m3以下の小規模な受水槽のある施設では現在検査が義務付けられていませんが、東京都ではそのような水槽も検査することを推奨しています。

このように水道水は浄水場から蛇口までさまざまな管理のもとに供給されてきます。当協会では皆様が安心してお水を飲んでいただけるように、簡易専用水道検査機関として貯水槽の衛生的な管理をお手伝いしています。さらに、水道水質検査機関として水道水の水質検査を行い、総合的な水質管理を目指しています。また、井戸水の検査も承っております。



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