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甲状腺外来

甲状腺の病気 シリーズ9【甲状腺の腫瘤(改)】

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甲状腺の腫瘤
甲状腺の腫瘤(しこり)を「結節性甲状腺腫」といい、良性と悪性とがあります。
大部分は甲状腺ホルモンの異常はありませんので、症状はほとんどありません。しかし、まれに甲状腺ホルモンをつくり出す腫瘤もあります。
検査について
検査で一番大切なことは、腫瘤が悪性か良性かを確かめることです。そのために超音波エコー検査、必要な場合は細胞の検査を行います。手術をする場合には、さらにCT、MRの検査をします。また、甲状腺ホルモンが過剰でないことを確かめるため、一度は血液の検査を行います。放射性ヨードを使つた検査をすることもあります。

良性の腫瘤
腺腫[せんしゅ]良性の腫瘍です。小さなものから、かなり大きなものまであります。大きくなつても、日乎吸が苦しくなったり、物が飲みにくくなることはまずありません。
腺腫様甲状腺腫[せんしゅようこうじょうせんしゅ]「腺腫のような甲状腺の腫れ」という意味の名前です。少々専門的になりますが、腫瘍ではなく、過形成というものに属します。そのため腫瘤が複数できていることがほとんどです。たくさんできると、甲状腺全体が腫れたようにみえることもあります。
嚢胞[のうほう]腫瘍の内容が解けて液状になったものです。腺腫や腺腫様甲状腺腫の一部が変化して嚢胞になっていることもあります。注射針で内容を吸いとると、小さくなります。
悪性の腫瘤
がん
甲状腺のがんには以下のような種類のものがあります。

乳頭[にゅうとう]がん:甲状腺のがんの大部分は乳頭がんです。細胞の並び方が乳頭の形をしているので、この名前がついています。手しがんとは全く関係ありません。進行が遅く手術を行えば治つてしまいます。極めてまれですが、長いこと経ってから未分化がん(下記)に変わることがあります。
濾胞[ろほう]がん:甲状腺のがんの5~6%はこのがんです。やはり性質の良いがんで、手術で治すことは十分可能です。
髄様[ずいよう]がん:まれながんです。手術すればよく治ります。遺伝性に発生することもあります。
未分化[みぶんか]がん:まれながんです。進行が早いので、発見されたら早急に治療することが必要です。
悪性リンパ腫
これも悪性の腫瘍です。橋本病からまれに発生することがあるといわれています。甲状腺から発生した悪性リンパ腫は治療で良くなるのが特徴です。

治療について
良性の腫瘤
甲状腺ホルモン療法:甲状腺ホルモンを服用するうちに、しこりが小さくなることがあります。しかし消えてしまうことはほとんどありません。小さい腫瘤は放置してもよいのですが、検査で良性にみえても経過をみるうちに悪性であることがわかることがありますし、一部に悪性の腫瘍がみつかる場合もあるので、定期的な検査が必要です。
手術:甲状腺ホルモンが過剰に出ている場合と、がんの疑いのある場合は、手術することをお勧めします。また腫瘤がある程度大きい場合も、悪性でないことを確かめるために手術が必要です。
エタノール注入療法:エタノールを注入することにより、 しこりをなくす方法です。嚢胞に向いています。
悪性の腫瘤
乳頭がん、濾胞がん、髄様がんは手術を行います。がんの広がり方で、切除する範囲が決まります。進行したものはさらに放射性∃一ド治療、化学療法を行うこともあります。
未分化がん、悪性リンパ腫には、原則として放射線治療、化学療法が行われます。

百渓尚子

2011.4